札幌市営地下鉄南北線さっぽろ駅構内に3月21日、アイヌ文化発信スペース「minapa(ミナパ)」がオープンした。
「ミナパ」は、アイヌ語で「大勢が笑う」の意味。札幌市が進めているアイヌ施策推進計画に合わせ2015年度から整備を進めていた。
同スペースには、アイヌ文化を継承する工芸作家の貝澤徹さんが制作したシマフクロウのオブジェ(高さ約2.5メートル、幅約2.4メートル、奥行約0.7メートル)をシンボルとして設置し、天井にはアイヌ文様を施したパネルを設置。柱に木の装飾を施して森の雰囲気を演出する。
大型9面マルチモニター(高さ約2メートル、幅約3.8メートル)を使ったメインシアターでは、アイヌ語による天気予報やクイズ、フランス人作家ボリス・ラべさんが制作したアイヌ文様アニメーションなど、アイヌ文化の魅力を発信する映像を上映する。
メインシアターの天気予報で紹介する道内14地域の気温と連動して柱の色が変化したり、一部の柱の近くを通ると、動物の鳴き声や川の水音などを自然の音が聞こえたりする演出も用意する。
設置している2つの大テーブルは体験型コンテンツを表示するスクリーンになっており、18世紀のアイヌの生活を表す「チセ(アイヌの住居)とコタン(集落)」、狩猟や和人との交流を表す「森と海」のCGアニメーションを投影する。アニメーションは、四季や時刻に連動して変化するほか、手をかざすと解説が表示されるようにした。
オープンから1週間、同所では札幌市民や観光客が足を止めメインシアターに見入ったり、シンボルオブジェの前で記念写真を撮ったり、アイヌ文化に興味を持つ人の姿が多く見られた。
札幌市市民文化局市民生活部アイヌ施策課の山田幸徳さんは「多くの方がこの空間を訪れ、アイヌ民族の歴史や文化を身近に感じていただくことで、共生社会の実現につながれば」と期待を寄せる。
各種映像の放映や光と音の演出時間は9時~22時。