アイヌ・アーティストの小笠原小夜さんによるアイヌ・アート作品を大型トラックにプリントした車両が3月1日から、全国各地の輸送に使われる。企画はトータル企画(札幌市北区新琴似町)。
ウポポイ(民族共生象徴空間)が開業し、全国でアイヌの言葉や文化への関心が高まりつつある。同企画はトータル企画がアイヌ民族文化財団から小笠原さんを紹介されたことからスタート。主に生活用品流通を担う同社の11トンの大型トラックにアイヌ・アート作品をプリントすることとなった。
これはトータルグループ(トータル企画、トータル運輸ほか2社)がウポポイ及びアイヌ文化活動を応援するとともに、同社が2020年9月に始めた「ダイレクトボディプリント事業」のPRを兼ねたプロジェクト。ダイレクトボディプリントは大型のインクジェット方式のプリンターで車両に直接プリントする施工で、従来のラッピング方法と比較すると低価格・短工期であることに加え、塩化ビニール不使用で環境にも優しいというメリットがある。
作品を制作した小笠原さんは北海道出身で東京在住。2006(平成18)年~2009(平成21)年、首都圏在住の若者アイヌを中心としたパフォーマンスグループ「ainu rebels(アイヌレブルズ)」として活動。2009年から北海道の若者アイヌを中心に結成された古式舞踊復元グループ「team nikaop(チーム ニカオプ(プは小文字))」として活動。個人活動としてアイヌ民族をテーマに、アイヌ語やアイヌ文様を取り入れた作品をイラストで表現している。
今回制作したアート作品は、トラック左側はハスカップ、エゾシカ、行者ニンニク、シマフクロウ、花、ヒグマを施したもの。トラック右側はシシャモ、ハマナス、鮭、エトピリカ、ラッコ、昆布、カレイを施した。トラック左側にはアイヌ文様「カパラミプ(プは小文字)」を、右側にはアイヌ文様「チカラカラペ(ラは小文字)」を施した。
小笠原さんは「アイヌ文様はアイヌ民族を象徴するものなので、遠くから見ても一目で気づいてもらえるし、トラックが晴れ着を着たかのようなデザインにした」と話す。