札幌・大通公園に設置されている木製ベンチを市民の手で塗り替えるプロジェクト「Sapporo Wood Repainters(サッポロ・ウッド・リペインターズ)」が4月29日、大通公園西5丁目の全ベンチを塗り替えることになった。
札幌市内にある傷みがある木工物を市民の手で塗り替え、美しい景観を守る活動を進める同プロジェクト。呼び掛け人の塗料製造メーカー「和信化学工業・北海道事業所」を中心に、「札幌市公園緑化協会」「札幌景観色普及委員会」「好きですさっぽろ個人的に実行委員会」が連携して2月25日に実行委員会を設立。活動を本格化させた。今回の西5丁目のベンチ塗り替えを皮切りに、春と秋の年2回、6年をかけて大通1~12丁目の全ベンチの塗り替え作業を行う予定。
昨年10月19日、大通西4丁目の一部ベンチを塗り替えるプレイベントを実施。世代を超えた60人以上の参加者がベンチ26脚を塗り替えた。自分が担当したベンチに愛着が湧き「マイベンチにしたい」という人もいたという。今回の塗り替え作業では市民ボランティア100人を募集。詳細は同プロジェクトのフェイスブックページで告知する。
塗り替えに使用する色は「札幌の景観70色」の中から西5丁目の塗装色候補として、「ペチカ」「馬鈴薯(ばれいしょ)」「蝦夷紫」を有識者らが選定。そこから1色をWeb上で行う市民投票で選ぶ。
事務局長の宮川多恵さんは「耐久性の問題から屋外の木製設備は少なくなってきたが、木部を手入れすれば長く使える。木のぬくもりを大切にし、景観づくりに貢献できる活動ができてうれしい。『塗装で景観保存』の思いは道内全てのまちに感じている。大通公園以外にもSWRで市内の木工物も保護していきたい」と言葉に力を込める。
宮川さんは北海道が好きで10年前に東京から転居。和信化学工業に入社後、函館・西部地区の歴史的建造物の外壁保護塗装や、札幌円山動植物園のデッキ塗り替えなどを企業のCSR活動として実施し、塗料メーカーだからできる地域貢献に強い意義を感じたという。今回使用する塗料は同社が札幌市景観色に合わせ、木部に適した選定50色の塗料を開発した。塗り替えに使用する塗料はすべて同社が無償提供する。
投票および市民ボランティア参加申し込み期間は3月13日~4月6日。