ロリータファッションと「かわいい」を掛け合わせた札幌・小樽の新たな観光資源作りプロジェクト「ロリカワ観光ツーリズム事業」の実施計画が6月26日、発表された。
国土交通省観光庁は今年1月、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」に盛り込まれた事業の一環として「官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業」への取り組み「日本タビカレッジ(タビカレ)」プロジェクトを企画し、地域ごとの伝統的な観光資源に新たな文化を組み合わせ、「今までにない観光資源を創造」を目的とした全国規模の観光事業をスタートした。全国から寄せられた613件の観光事業案の中から78件が採択され、現在、全国78の地域が各案の実施に向けて動き始めている。同取り組みによる財政支出は全体で約13兆円・総事業規模は20兆円超に上る見込み。
ロリータファッションは、18世紀ヨーロッパの服装をモチーフにフリルやレースを多用したドレスで着飾る日本独自のファッション文化。一部のビジュアル系バンドや映画のキャラクターが同ファッションで着飾る姿も見られる。ダークな雰囲気を醸し出す「ゴスロリ」、スタッズなどアクティブな装飾の「パンクロリ」、お姫様・王子様をモチーフにした「姫ロリ」「王子ロリ」など、こだわりのロリータファッションが多数存在し、国内外に熱烈なファンも多い。
古くは数十年前から海外で注目される日本のポップカルチャーやサブカルチャー文化は、ここ1、2年の間で大手メディアも取り上げるなどして国内での浸透率も高まり、日本政府は「クールジャパン」戦略の一つに据えた。「ロリカワ観光ツーリズム事業」では、注目を浴びるロリータと海外での認知度も高まった「カワイイ文化」をアドバンテージとして国内外の観光需要を喚起することが狙い。「小樽運河」「日本銀行旧小樽支店金融資料館」「道庁赤レンガ」「豊平館」など、札幌と小樽の西洋的な歴史的建造物や街並みとのマッチング、ボーカロイドキャラクター「初音ミク」誕生の地が札幌であることなどを背景に、札幌・小樽の観光事業として選ばれたという。ターゲットは「ロリータファッション好き」「ロリータファッションを体験したい」「ロリータに会いたい・撮影したい」などを目的とする観光客など。「コンテンツストリート」(東京都)社長のコンテンツメディアプロデューサーでデジタルハリウッド大学・大学院特任教授などとしても活躍する櫻井孝昌さんが事業のアドバイザーを務める。
今後は撮影会やティーパーティー、ミーティングイベント、ワークショップ、「ロリカワ」ファッションの人気モデル・青木美沙子さん、木村優さんを招いた「ロリカワパーティー」、近畿日本ツーリスト北海道による「ロリカワ観光ツーリズム事業」旅行プランのモニター実証などを行う予定。実証実験を行い、同取り組みに関するインフラを整備・ブラッシュアップすることで一過性の観光資源でなく恒久的な観光事業として定着させることを目標とする。
国土交通省北海道運輸局・企画観光部の渋武容部長は「官民一体となってどうやって観光振興するかという課題に対し、世界にも発信できるコンテンツを持って地域づくり・経済発展を目指す。『ロリカワ』の魅力に触れながら各地を回り、地域の魅力も発見してもらえるよう新たな可能性を見いだしたい」と話す。
「タビカレ」のホームページでは、ユーザーによる投票や意見により1位~78位までのランキング付けも行い、常時公開する。