プレスリリース

猛暑日(38.4℃)に路面温度を最大18.7℃低減! ホタテ貝殻とリグニンを活用した脱炭素舗装「CFミックス」を実証。

リリース発行企業:大成ロテック株式会社

情報提供:

大成ロテック株式会社は、国土交通省の令和7年度「脱炭素・クールダウン都市開発推進事業」採択事業において、ホタテ貝殻やリグニン等の未利用資源を活用した環境配慮型舗装材料「CFミックス」による実証実験を実施しました。 記録的な猛暑となった2025年夏(最高気温38.4℃)の環境下において、一般的なアスファルト舗装と比較して最大18.7℃の路面温度低減(クールダウン効果)を達成。さらに、製造・運搬・施工に至るサプライチェーン全体での包括的な脱炭素化スキームの有効性も確認しました。 本実証は、「地方の課題」と「都市の課題」を同時解決し、資源循環による脱炭素化と都市部クールダウンを両立する次世代のサーキュラーエコノミーモデルを提示するものです。

1. 未利用資源を活用した「CFミックス」および実証材料の概要

本事業の「CFミックス」は、太陽光を吸収しやすい従来の黒いアスファルト舗装と比較し、貝殻由来の炭酸カルシウムによる「明色化」を特徴としています。
ヒートアイランド現象が顕著な都市の建築外構や歩行空間への実装、持続可能なまちづくり(脱炭素・クールダウン)を見据え、本実証では以下の環境配慮型技術の比較検証を行いました。


■用語解説
CF (Carbon Fixation:炭素固定)ミックス

貝砂(左)とリグニン(右) 例
大気中や海洋中の炭素成分を、植物の光合成や水産生物の石灰化といった自然界のメカニズム、あるいは化学的な技術を用いて、炭素化合物(リグニンや炭酸カルシウムなど)として長期間留めておく(固定化・貯留する)技術やプロセスのことです 。これらの炭素貯留メカニズムやバイオリファイナリー(Biorefinery)技術をインフラ分野に応用し、製造した低炭素・脱炭素型建設資材を当社では『CFミックス』と総称しています 。



ホタテ貝殻由来の高純度炭酸カルシウム「貝砂」

貝の身と貝殻
養殖ホタテガイの副産物(貝殻)を活用し、高純度な未焼成炭酸カルシウムを舗装資材として利用しました。LCAの配分原則により、ホタテ養殖に伴う環境負荷は主産物である「食品」(貝の身)に割り当てられるため、副産物の貝殻は、上流工程の二酸化炭素(以下、CO2と記載)排出責任を引き継がないクリーンな資材として扱われます。




ホタテ貝殻と炭酸カルシウム
非可食の舗装資材利用であることを活かして約1,000℃の焼成工程を省略し、エージング(養生)と約200℃の加熱乾燥のみで建材用品質を確保しました 。これにより、製造時のCO2排出を最小限に抑えつつ、ホタテガイが海中で取り込んだ溶存無機炭素を熱分解させることなく、そのまま舗装内部へ長期的に固定化・貯留(カーボンロック)します 。



森林残渣由来の高純度リグニン「リグノバ」

木材チップ(リグニン抽出前)
本実証実験では、地域の森林保全において発生する未利用の間伐材や森林残渣(林業副産物)から、再生可能エネルギーを用いて抽出した高純度リグニン(リグノバ)を舗装資材として活用しました。建築用木材の需要が喚起こされる一方で、建材に適さない低品質な間伐材や枝葉等は用途が限定されており、収集されても燃やして熱利用(サーマルリサイクル)されるのが一般的でした。しかし、燃焼させると樹木が成長過程で吸収した生物起源炭素(バイオジェニック炭素)は、CO2として直ちに大気中へ再放出されてしまいます。
本取り組みは、この未利用部材を焼却するのではなく、石油精製における有価の連産品である石油アスファルトの一部を代替する素材としてマテリアル利用するものです。これにより、国際的なLCA基準においてアスファルトに割り当てられる製造・輸送時のサプライチェーン排出量(Scope 3)を削減するとともに、木材が固定した炭素を短期間で大気へ戻すことなく、インフラ(舗装内部)へ長期的に固定化・貯留(カーボンロック)する仕組みを実現しました。





2. 実証実験に用いた新規舗装技術

本実証では、結果を明確にするため、以下の環境配慮型材料および比較用標準材料を設置・検証しました。
CFミックス ILブロック(インターロッキングブロック)舗装

CFミックスILブロック
輸入ホワイトセメントの一部を、国産ホタテ貝殻の炭酸カルシウムに置換し、舗装規格を満足させた歩道用ブロックです 。貝殻の自然由来の柔らかい白さ(明色化)を利用して太陽光を反射し、路面温度を低減します 。



CFミックスアスファルト混合物

建築外構舗装の様子
不足しがちな天然砂の代替としてホタテ貝の「貝砂」を適用し、海外輸入に頼る原油由来の石油アスファルトの一部置き換えとして森林残渣由来の「リグノバ」を適用した合材です。




建築外構駐車場のCFミックス舗装
写真左:CFミックス ILブロック舗装
    配合(色)を変えた複数ブロックを適用、10m2。
写真右:CFミックスアスファルト舗装
    都型開粒II型(都内歩道用)、20m2。





■比較・検証に用いたその他の舗装材
- 竹チップ舗装
全国で課題となっている放置竹林の竹チップを配合した、保水性の高い土系舗装。
参照:国土交通省ホームページ「竹チップを用いた土系舗装」
- 密粒度舗装
一般的な黒いアスファルト舗装(透水機能なし)。本実証における温度比較の「基準」として使用。
- 開粒度舗装
都内の歩道等で一般的に採用されている、空隙があり水を通すアスファルト舗装。


温度測定サンプル開粒・密粒
写真左:上から開粒(t=10cm)、CFミックス開粒(t=10cm)、開粒(t=5cm)、CFミックス開粒(t=5cm)

写真右:上から密粒(t=10cm)、CFミックス密粒(t=10cm)、密粒(t=5cm)、CFミックス密粒(t=5cm)

※CFミックス配合の舗装サンプルはCFミックス未配合サンプルと比較して表面が明色化しています。



- 遮熱舗装


温度測定サンプル遮熱舗装
太陽光を反射する遮熱性塗料を密粒度または開粒度舗装の表面(路面)に塗布した舗装です。
計測サンプルの遮熱塗料カラーは、赤色:ベンガラ と、黄色:オーク としました。



DOTCON(ドットコン)舗装

ドットコンと開発者の小澤氏
密実なコンクリートを用いたまま、専用パネルで物理的に透水孔(ドット)を形成した最新の透水・貯留型コンクリート舗装です。










3.クールダウン効果を実証(KK線における路面温度低減効果)

(1) 実証実験の概要
東京高速道路(KK線)の高架橋上(街路樹等の日陰がない厳しい熱環境)に各舗装サンプルを設置し、2025年8月~2026年2月の実気象条件下において、24時間連続で表面温度を計測、比較しました。

(2) 晴天・完全乾燥状態での最大低減効果
2025年8月30日(最高気温38.4℃)の記録的な猛暑日において、基準となる一般的な密粒度アスファルト舗装の表面温度が74.4℃という高温に達する中、「CFミックス ILブロック」の表面温度は55.7℃に留まり、最大18.7℃の路面温度低減効果を記録しました。ここで、路面温度低減効果は標準的な密粒舗装サンプルの最高温度とのピーク差(℃)としています。

路面温度低減効果(18.7℃),2025年8月30日


(3) 5日間連続の猛暑でも安定した効果を維持(降雨なし)

晴天時における計測状況
CFミックスの主な特長は、降雨(打ち水)の気化熱に頼らずに冷却効果を発揮する点です。最高気温35℃以上を連続記録した5日間(8月30日~9月3日)の過酷な条件下においても、CFミックス ILブロックは平均して約16℃の路面温度低減効果を安定して発揮し続けることを確認しました。




【各舗装材の5日連続の猛暑日における温度低減効果の平均値】
・標準密粒(t=5cm): 74℃(基準)
・標準開粒(t=5cm): 75℃(1℃ /ヒートアップ)
・CFミックス ILブロック(BL6cm+基礎4cm): 58℃(約16℃低減 / クールダウン)
・竹チップ系舗装(t=5~10cm): 58℃(約16℃低減/ クールダウン)
・ドットコン(t=10cm): 62℃(約12℃低減/ クールダウン)
・CFミックス系アスファルト(t=5~10cm): 67℃(約7℃低減/ クールダウン)

(4) 降雨後の気化熱による低減ブースト
降雨の翌日(9月6日)に強い日射を受けた際は、舗装内部の水分が蒸発する冷却メカニズム(気化熱)が働き、保水性の高い竹チップ系で最大23℃の低減を記録したほか、CFミックス ILブロックでも約18℃の低減を維持しました。


降雨時における計測状況






(5)公開_KK線(東京高速道路)での温度計測
街路樹等の影がない厳しい熱環境の高架橋上において、2025年8月~2026年2月にわたり24時間連続で温度を計測し、標準的な密粒度アスファルト(厚さ5cm)との温度差を評価しました。
実証実験公開イベントにて30人以上(ILブロックメーカ、生コンクリート工場、生コンクリート組合、生コンクリート圧送会社、銀行、広告代理店、建設会社、舗装会社、コンサルタント会社の各関係者様)をご案内しました。


実証実験公開イベントにおける見学状況

4. サプライチェーン全体の脱炭素化

上記の脱炭素化材料の路面温度低減効果に追加し、製造・運搬・施工の脱炭素化を実証しました。

次世代建機とバイオ燃料による「施工時のCO2実質ゼロ」
城南島での試験施工において、アスファルトフィニッシャー等の建設機械の燃料を次世代バイオ燃料(出光リニューアブルディーゼル)へ100%置き換えたほか、EV(電気自動車)タイヤローラ等の次世代施工機械を併用しました。稼働前に燃料タンクを空にし、燃料メーターでエンプティーマークを確認してから給油する厳密なスキームにより、施工中の建機由来CO2排出量を実質ゼロとみなせるエビデンスを構築しました。
- 施工現場のCO2排出量実質ゼロへの取組
舗装施工現場にてにて合成燃料を適用した舗装施工機械およびEV施工機械例


範多機械 フィニッシャーBP40W



範多機械 切削機CRP-100VI



NISHIO EVタイヤローラ




施工状況動画(中間報告会で公開)


- 物流問題に対応するモーダルシフトにて道路利用者によるCO2を削減
北海道から都内へ。貝殻リサイクル品の長距離輸送において、従来のトラック主体から「鉄道輸送(JR貨物)」を基幹とするモーダルシフトへ転換しました。これにより、ドライバー不足という社会課題に対応しつつ、材料調達プロセスにおけるサプライチェーン全体のCO2排出量(Scope3)を大幅に削減しています。


JR貨物用コンテナ輸送併用にて受取った北海道産の貝砂

明治大学による学術的裏付け(過酷な環境に耐えうる強度と安定性)
- 明治大学・建築材料研究室への委託研究により、本資材の実用性が工学的に実証されました。
具体的には、生コンクリート1立方メートルあたり約400kg(※)という細骨材の50%に相当する炭酸カルシウムを配合し、結合材に高炉スラグ微粉末を併用した場合でも高い強度を確保しました。さらに、乾燥や温度変化によるひび割れや変形を防ぐ重要指標である「寸法安定性」についても、一般的なセメントを使用したコンクリートと同等レベルを維持するメカニズムが確認され、インフラ資材としての高い信頼性が担保されました。
※物理的なCO2貯留量(換算値)試算:生コンクリート1立方メートル当たり約158kgのCO2を内部に貯留。算出根拠:400kg/m3 × 44/100 × 0.9 ≒ 158kg/m3ただし、44/100 はCO2とCaCO3の分子量比、0.9はホタテ貝殻の炭酸カルシウム純度(安全側の推定値として90%)とする。


5. 今後の展望

本実証実験の条件下において、黒色アスファルト舗装を明色化(CFミックスアスファルトの適用)することにより、路面温度の低減が確認されました。
また、舗装の明色化(CFミックスILブロック等の設置)に舗装厚の増大を組み合わせた仕様においては、日最高気温38℃を超過する単日条件に加え、「無降雨期間14日以上かつ日最高気温35℃以上(猛暑日)が5日連続する」気象条件下においても、標準的な密粒舗装サンプルに対して10℃以上の路面温度低減状態が維持される傾向が確認されました。
本結果は、当該仕様の適用が持続的な路面温度の上昇抑制に寄与することを示唆しています。

これらのクールダウン効果は、地方の社会課題である「未利用資源(貝殻等)の活用」を図りながら達成したものです。さらに、次世代建機(EV・合成燃料適用)やモーダルシフトを組み合わせることで、施工時および運搬時のCO2排出削減の取り組みとも複合的に実施可能であり、サプライチェーン全体での脱炭素化が実証されました。これは、2026年4月に施行される『改正資源有効利用促進法』(法の目的に初めて「脱炭素化」が明記)が掲げる新たな資源循環方針とも軌を一にしており、インフラ分野からの多角的な環境貢献と都市デザインを実現するものです。

大成ロテックは、今後も明治大学や各協力企業と連携し、今回の結果を基に「地域ごとの課題解決」を図りつつ、2026年4月に施行される改正資源有効利用促進法(資源循環による脱炭素化)を見据えた持続可能なインフラ整備の標準モデルとして、『脱炭素』と『都市部クールダウン』の実現を提案し、国が掲げる『脱炭素・クールダウン都市開発』の施策を推進してまいります。

■中間報告会室内発表の様子

想定Q&A
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会社紹介
■大成ロテックについて
大成ロテック株式会社
https://www.taiseirotec.co.jp/

[本件に関する報道関係者各位からのお問合せ先]
お問合せ先:渡邊:kiyotaka_watanabe@taiseirotec.co.jp

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