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札幌・大通で「くすみ書房のオヤジが残したもの展」 著者・久住さん一周忌に初出版

一周忌を兼ねたトークイベントに集まった参加者ら

一周忌を兼ねたトークイベントに集まった参加者ら

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 「丸ヨ池内GATE」(札幌市中央区南1西2)6階にある古書店「書肆吉成(しょしよしなり)」で8月28日、書籍「奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの」発刊記念トークイベントが行われた。

書籍「奇跡の本屋をつくりたい」と手書き原稿も展示

 同書は昨年8月に昨年肺がんのため66歳で他界した「くすみ書房」の店主、久住邦晴さんの遺稿を、家族と同店で交流があった人々が協力し書籍化したもの。久住さんの一周忌に当たる8月28日を出版日にしたという。

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 当日は100人を超す来場者が集まり、特設会場だけでは収容できず、書店内の本棚の間にも人があふれる状況に。イベントに合わせて用意した新刊70冊もあっという間に完売。急きょ予約販売を受け付けるなど、書店スタッフは対応に追われていた。

 トークには、書籍化に携わった東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の中島岳志さん、装丁家の矢萩多聞さん、出版社ミシマ社の三島邦弘さん、フォトグラファーで久住さんの長女クスミエリカさんが参加。出版に至るまでの経緯や、生前、本に対する情熱や琴似の街づくりに尽力する久住さんを偲ぶエピソードを伝えた。会場となった同店店主の吉成秀夫さんも生前の久住さんと交流があったという。

 1946(昭和21)年に父親が西区琴似に創業した「くすみ書房」を1999年に引き継いだ久住さんは、読書離れの歯止めと書店の経営難改善のため、次々とユニークな試みを展開していった。店内に特設コーナーを設け、2003年に売れない文庫本1500冊を集めて行った「なぜだ!?売れない文庫フェア」はマスコミにも取り上げられるなど話題を集め、売れない本1500冊が1カ月で完売した。

 2004年には「本屋のオヤジのおせっかい」と題して中高生に読んでほしい本500冊を集めた「これを読め!」フェアを展開。「これを読め!」は、道内各地の書店や他県へも広がりをみせたという。

 2005年には書店の階下のテナントで、当時札幌にはなかったブックカフェをオープン。中島さんの協力を得て、琴似の文化交流拠点になっていったという。しかし、書店経営は思わしくなく、63年間拠点を置いた琴似を後に、大谷地へ移転して立て直しを図ったものの2015年に閉店した。

 閉店後も新たな形で再起すべく、中高生向けの本屋を作る夢を掲げ、全国の書店を巡るなど精力的に活動していた久住さんだが、肺がんであることが発覚。闘病生活に入っている間に、復帰を信じて原稿を書きためていたという。

 イベント会場では、エリカさんが撮影した琴似や大谷地時代のくすみ書房の店内写真やフェアの様子、久住さんの手書き原稿なども展示する。

 エリカさんは「父の本を出版できたことは奇跡だなと思う。本屋が好きな人も本に触れたことがない人も、この本を読んで、こんな世界があることをしてもらえたらうれしい」と話す。

 同書は200ページ。価格は1,620円。営業時間は10時~20時。展示は9月24日まで。

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