札幌のベンチャー企業・ビー・ユー・ジー(現・ビー・ユー・ジー森精機)(札幌市厚別区)社屋に設置されていた世界的彫刻家 イサム・ノグチの作品「オンファロス」が11月17日、モエレ沼公園(札幌市東区モエレ沼公園1)に寄贈された。当日、除幕式とトークショーが行われた。
これまで同社2階フロアに設置されていたが、同園施設「ガラスのピラミッド」の頂点の真下に移設され一般公開された。
1988(昭和63)年当時同社の社長だった服部裕之さんが札幌テクノパークの自社ビル建設をきっかけにイサム・ノグチと知り合い贈られたのが同作品。同年10月8日の社屋完成以来25年間、同社の発展を見守ってきた。イサム・ノグチは同年12月30日に逝去したため、遺作となった。
「オンファロス」とはギリシャ語で世界の中心を意味し、ギリシャのデルフィ遺跡・アポロン神殿にあったといわれる神託を受ける場所「地球のヘソ(オンファロス)」に由来しているという。
同園のマスター・プランは服部さんとの出会いがきっかけで1988年に札幌を訪れたイサム・ノグチが作成。具体的な設計・施工はイサム・ノグチ財団の監修下、同氏の意志を引き継いだ人々によって継続され、1988年に着工、2005年に完成した。イベントが開催された日はイサム・ノグチの109歳の誕生日だった。
服部さんは「オンファロスがここに設置されることになったのはたくさんの縁がつながった結果。これから、この作品をたくさんの人に見てほしい」と来園を呼び掛けた。
同日、「イサム・ノグチ彫刻庭園」(ニューヨーク)のフォトエッセーなど、イサム・ノグチの多くのプロジェクトを記録したアートドキュメンタリスト安齋重男さんのトークショーも開催。約50人の参加者がイサム・ノグチの作品解説やエピソードに耳を傾けた。
現在の開館時間(4月28日まで)は9時~17時(土曜・日曜・祝日は19時まで)。月曜休館。入園無料。