札幌ユビキタス協創広場 U-cala(ユーカラ)(札幌市中央区北1東4)で10月2日、「北海道コワーキングパーティ2014」が開催された。主催は札幌コワーキング・サポーターズ(SCS)。
経済産業省北海道経済産業局、札幌市、北洋銀行、北海道大学、日本政策金融公庫で構成するSCSが、コワーキングスペースの利用促進とコワーキングを通じた横のつながりの強化、新たなビジネスの創出を支援するために開催している。道内外のコワーキングスペースの運営者や利用者、コワーキングに興味を持っている人などが参加した。
今年で3回目となるイベントは2部構成で行われ、1部では人口6000人の徳島県神山町に芸術家やITベンチャー企業のサテライトオフィスを誘致し雇用創出に取り組んでいるNPO法人「グリーンバレー」・理事長の大南信也さん、埼玉県大宮市でコワーキングスペース「7F」や「大宮経済新聞」を運営しているコミュニティコム社長の星野邦敏さんが、それぞれの取り組みを紹介した。
現在、神山町には名刺管理サービスで有名な「Sansan」をはじめ11社がサテライトオフィスを持ち、58世帯105人の移住者がいるという。当初はIT企業の誘致ではなく、芸術家の移住とアートを見学に来る観光客などアートビジネスを目指していたが、空き家が目立つ神山商店街で職業や仕事内容を指定して誘致する「ワークインレジデンス」を展開。そのプロジェクトがニューヨーク在住の建築家を呼び込むことになりIT企業の誘致につながったという。人の流れがなかった商店街に人が集まり、移住者から刺激を受けた地元の住人が新たに起業し雇用も生まれているという現状が紹介された。
大宮市でコワーキングスペースを1年10カ月運営してきた星野さんは同スペースの開設経緯と利用状況を紹介。月延べで2500人の利用者があり、月の売り上げは約170万円になるという。同スペースの売り上げ以外に、同スペースの利用者間のビジネス交流で受発注が行われているという。運営を成功に導いたポイントとして「コワーキングスペースを運営している全国の先人に学んだこと、市役所に出向いて街のプレーヤーを紹介してもらったこと、運営直後は収支・採算を合わせるため店長として自分が全時間常駐して状況を把握したこと」などを挙げた。
「コワーキングナイト」と題された2部では、「さっぽろ大通りコワーキングスペース ドリノキ」、「札幌ものづくりオフィス&カフェ SHARE」、「コワーキングスペースあさひかわ37」、「育てるコワーキング札幌」の利用者が事業を紹介した。SHAREを利用しているチョークアート作家の笹森花絵さんは「いろんな業種が集まるため1カ所でいろいろなことが完結する。ワーキングスペース内で仕事の発注があり営業の手間がかからない」と自身のメリットを紹介した。
北九州市でコワーキングスペース「秘密基地」を利用してまちづくりに関するコンサルティングなどを行っている渋谷健さんは「北海道まで行ったかいがあった。これを機会に北海道と九州のコワーキングで何かできたら面白そう」と話していた。