札幌在住の中高生たちが製作した長編映画「茜色クラリネット」の東京劇場公開に向け8月26日、クラウドファンディングサービス「Makuake」で支援を募っている。
昨年11月に琴似で行われた完成披露試写会であいさつする坂本優乃監督
同作は、NPO法人「北海道コミュニティシネマ」が主催する子ども映画製作ワークショップに参加した中高生らと大人のプロキャストやスタッフ、札幌・琴似地域の住民がタッグを組み製作。2年前の秋に「コトニ夢プロジェクト」をスタートさせ映画製作にあたっていた。監督の高校1年生(当時)の坂本優乃さんを中心に中高生21人が昨年の夏休みに琴似をロケ地に撮影して編集作業を行い、11月に完成。今年3月にシアターキノ(中央区)で劇場公開され1000人以上の観客を集めている。
子どもの姿のまま夢を持つことができない大人になる「大人病」がコトニにまん延していることに気付いた中学3年生の茜と同級生らが、謎を追い求めて解決しながら成長していくファンタスティックなストーリー。
映画監督の是枝裕和さんや阪本順治さんら映画関係者から評価され、今年11月の東京劇場公開が決まり、全国上映に向けて配給していく運びになった。シカゴ・インターナショナル・フィルムフェスティバルやニューヨーク・インターナショナル・チルドレンズ・フィルムフェスティバルなど世界の映画祭にも応募している。
東京の公開劇場はユーロスペース(渋谷区)で、上映期間は11月1日~14日。同2日・3日はキャスト・スタッフの舞台あいさつも予定。全国の公開劇場は10月末までに決定する。
全国公開にあたりチラシ・ポスター・チケットなどの印刷費や、予告や劇場用素材製作費、試写会費、会場費、VPF費(映画館デジタル化分担金)、配給協力宣伝費など約150万円が必要になる。これらは映画入場料や制作母体である同プロジェクトと企業協賛の寄付で集まるが、坂本監督の東京キャンペーン旅費宿泊費、舞台あいさつに参加する中高生キャストの旅費宿泊費、滞在時に是枝監督の指導を受けるなどのワークショップ経費、海外映画祭出品費など合計70万円が不足するため、クラウドファンディングで70万円を目標に支援を募る。
坂本監督は「私たちの目標は将来映画の仕事に就くこと。東京公開という大きな舞台に踏み込むことで、映画の世界の厳しさや魅力がさらに広がると思う。それを吸収して大人になったときに夢を追う原動力にしたい」と意気込む。
同ワークショップを支援しているシアターキノの中島洋社長は「中高生たちが未来に向かって羽ばたいていくのをぜひ支援してほしい」と協力を呼び掛ける。
支援者には、子どもたちからのお礼メッセージ動画、全国共通チケット、劇中に登場するゆるキャラ・トニコのお面、公式ガイドブック、本編DVD、サントラCD、ロケ地・琴似神社のお守り、琴似の市場から野菜を直送&主人公の茜のママのレシピ、坂本監督・初脚本作品「僕らの興味期限切れの夏」DVD、トニコも呼べる上映会権利など、支援額に応じて特典を用意する。
支援応募期間は10月24日まで。支援方法などは「茜色クラリネット」クラウドファンディングページで確認できる。