書家・紫舟(ししゅう)さんの個展が9月17日、「札幌三越」(札幌市中央区南1西3)本館9階の「三越ギャラリー」(TEL 011-222-8826)で始まった。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」、日本国政府「APEC Japan」、伊勢神宮「祝御遷宮」、東大寺書初奉納、今年の「さっぽろ雪まつり」の大雪像「伊勢神話への旅」などの作品を手掛け、スイスダボス会議招待公演・作品展示、パリコレ、ノーベル賞関連授賞式での展示など、国内外で活躍する紫舟さん。北海道での個展は今回が初。
会場では、書とインスタレーション映像を融合した作品「世界はこんなにもやさしく、うつくしい」を展示。あらゆる分野のスペシャリストとテクノロジーの集団「teamLab(チームラボ)」(東京都文京区)とともに作り上げた。壁に投射された文字の明暗をセンサーが感知して映像を変化させる仕組みのインタラクティブな作品で、「花」の文字が明暗を感知すると花が咲く絵、「虹」の文字が明暗を感知すると虹が架かる絵などに変化する。「鳥と林が同時に絵に変化した場合は鳥が木に留まり、土と雨が同時に変化した場合は草が成長する。自然の相互作用を映像の中で表現している」(紫舟さん)という。変化のパターンは無限大。
同展に合わせて新作を10数点用意。北海道をイメージした自然を表わす文字を多彩な書体で書きしたためている。「自然に関係する文字だけでなく、『楽(しい)』という文字を何点かに使っている。北海道のことを考えたとき、北海道の人の人間らしさ、流れに『楽』が表れていると感じた」。金の屏風にフグと「福」を描いた「転百福図(てんじひゃくふくず)」、歌手、タレントの吉川晃司さんに贈った「別冊カドカワ」の「愚 日本一心」、紫舟さんの筆やすずりの展示やクリアファイルのグッズも販売している。
「書は日本の文化。日本の人たちの応援、支えがあって次の世代に継承することができるもので、その思いが文化を支える。ぜひ足を運んで文化に触れてもらえたら」と話していた。
開催時間は10時~19時(最終日は16時まで)。入場無料。9月23日まで。