札幌を拠点に活動するグラフィックデザイナー・目谷裕美子さんが、世界的な国際ポスターコンクール「ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ」の広告部門で金賞を受賞した。
世界三大ビエンナーレのひとつでもある同コンクールは、1966年に設立された世界初のポスターコンクール。ポーランドで隔年に開催され、今年で21回目。歴代の日本人金賞受賞者には、サイトウマコトさんや永井一正さんなど日本を代表するトップデザイナーがいるが、札幌のデザイナーが金賞を受賞したのは今回が始めて。
目谷さんは、札幌のデザイン会社・寺島デザイン制作室勤務を経て昨秋独立し、「キンザ座」を設立。広告デザインや店舗のブランディングなどを手がけている。受賞作品は、札幌市内の美容室「ヘアーサロンベアーズ」のポスター「Neo Beauty」。ピンク色のクマのぬいぐるみに、「髪を切って落ちる様子をイメージした」(目谷さん)とハサミでクマの顔を、髪の毛で店舗名を表現している。
昨年、同店のブランディングを任された目谷さんは、同店の女性オーナーをイメージしたピンク色のクマをキャラクターに採用。受賞作品は、そのキャラクターを店内に飾るポスター用にアーティスティックにデザインしたもの。「シンプルなだけに細かなディテールが目立つので、どこも気を抜くことができなかった」という。
目谷さんは6月9日、コンクールのホームページを見て受賞を知った寺島デザイン制作室の寺島賢幸社長からの電話で初めて受賞を知ったという。知らせを受けた時は「実感がなく、何が起きたのかわからなかった」と振り返る。入選の知らせはすでに受けていたため「入選しただけで良かったという気持ちで、それより先(金賞)があると思っていなかったのでびっくりした」とも。作品はニューヨークADCでも入選を果たしている。
目谷さんは「数年前は東京のコンペティションでことごとく落ちていた。自分に足りないところをコツコツと補っていった結果、こういう結果が出たので、目指す方向が間違っていないという確信が持てた」と受賞の喜びを話す一方、「最初は出品する気はなかった。元同僚がコンクールで賞を取り、新聞に載ったのを見て『すごい』と思った反面悔しかった。チャレンジの気持ちで出品したが、チャレンジして良かった」と、今後もチャレンジを続けていくという。