イタリア人チーズ職人がフレッシュチーズを製造している「ファットリアビオ北海道」(札幌市白石区平和通12、TEL 011-376-5260)が工場横に直営店をオープンして約1カ月がたった。
同社で製造するモッツァレラ、リコッタ、カチョカヴァロを販売するほか、通常は販売しないプロ向けの商品ブッラータやリコッタサラータなども販売する。さらに、イタリアから直輸入したオリーブペーストやオリーブオイル、トマトペースト、ハチミツなども取りそろえ、イタリアのサラミ職人が製造した生サラミもラインアップに加える。店舗面積は約8坪。
社長の高橋廣行さんは2013年、東京のレストランオーナーのイタリア人Elio Orsara(エリオ・オルサーラ)さんと共同で同社を設立した。設立前に自らイタリアのファットリアビオへ赴き、イタリアのチーズ文化に触れ、その文化を日本に伝えたいと決意したという。その後、ファットリアビオからチーズ職人のGiovanni Graziano(ジョバンニ・グラツィアーノ)さんを日本に呼び寄せ、北海道の搾りたての生乳を使ったチーズの製造を始めた。初年度は試作を含め製造したチーズの在庫を大量に抱え苦悩したこともあったが、昨年、チーズプロフェッショナル協会が主催する「ジャパン チーズアワード2014」で金賞を受賞するなど複数のタイトルを獲得。国内の有名ホテルのシェフにも高く評価されるチーズブランドとして成長した。
同社の評判が広がるにつれ、本州や道内から工場を訪れてチーズを求める客が増えたことから、「せっかくここまで来てくれたお客さまを、ちゃんとお迎えすることができるスペースが必要」と考え、直営店を開くことにしたという。来てくれたお客さまに喜んでいただくために何ができるかを考え、普段は一般販売していないレストラン向けの商品も直営店で販売することにした。
オープン初日は、函館や釧路、東京や香川県からの客の姿もあり、「ここでしか買えないチーズがあるから来店した」と話していた。それから1カ月がたった。ショップ担当者の矢野根ゆかりさんは「お客さまの多くは市内からお越しいただくが、旅行や出張などの帰りに寄る道外からのお客さまも多い」と話す。
「これからも食卓に新鮮でおいしいチーズのある、おいしくて健康的な暮らしを発信していきたい」と高橋さん。「北海道の素材はすでに世界最高水準。これと本当に優秀な職人が結びつけば、素晴らしい食文化が北海道に生まれ根付かせることができる」と今後の展望に意欲を見せる。
今後はイタリアンチーズと同様にサラミ職人を北海道に呼び寄せ、北海道の畜産農家が生産した食材を使った生サラミの生産にも力を入れていくという。
営業時間は11時~17時。日曜定休。