ウエディング事業を展開するグローヴエンターテイメントが運営するレストラン「センティール・ラ・セゾン 中島公園」(札幌市中央区南9西4、TEL 0120-531-606)で4月24日、手話ウエディング体験試食会が開催された。
同社と札幌聴覚障害者協会(札幌市中央区)とが連携してプロジェクトを企画。同社が手話ウエディングプランをリリースするのは2013年に引き続き今回で2回目だという。
今回のプロジェクトは、自身も聴覚に障がいを持つ斉藤要さんがプロジェクトリーダーを務め、スタッフ全員に手話教育を行うとともに、障がい者への理解を深めることからスタート。ウエディングプログラム構成に障がい者ならではの視点を生かす取り組みを行った。
前回は会場にいくつもの風船を用意し、風船のひもを通じてBGMなどの音の振動を感じる工夫を施したが、今回は障がい者向けに特別な工夫はあえてしなかったという。障がいのレベルによって聞き取れる音のボリュームに差があることと、できるだけ健常者と同じ環境で普通の結婚式を挙げたいという障がい者の思いを反映させた結果だ。
体験試食会は、スクリーンを使ったウエディングプランのテロップサービス、手話ができるスタッフによるコース料理の説明、目で見て楽しめるカフェディアブル・パフォーマンス、デザートビュッフェ等のプログラムで構成。
当日は障がいを持つカップル6組が参加した。最初に斉藤さんが同会のコンセプトを手話で伝え、BGMが流れる中、静かな試食会がスタート。スタッフが手話を交えながら料理をサービスすると、緊張していた参加者が笑顔を見せる場面も見られた。パフォーマンスは、視覚で楽しめる炎が上がる演出を用意したり、スタッフが通常よりも大きめの音で手拍子をするなど、過度な演出ではないさりげない配慮がちりばめられていた。
斉藤さんは特別支援学校と普通の学校に通い、卒業後はブライダル雑誌の編集オペレーターの仕事を通してブライダル業界の知識があり、札幌聴覚障害者協会に所属して手話講師としても活躍している経歴がある。自分の経験をもっと役立てたいと考え、2年前に同社に入社したという。「聞こえる側の文化と聞こえない側の文化は違う。両方がわかる自分は、それぞれの相談に乗ることができる。当社以外にも手話ウエディングを広めたい」と言葉に力を込める。
参加者は「スタッフが手話で話してくれたので安心できた」と感想を述べていた。
同社では手話ウエディングのモニターを募集している。