新千歳空港・国際線ターミナル3階出発ロビー前の和雑貨店「小笠原商店」で9月中旬より、着物生地「反物」を使った和風キッチン雑貨ブランド「和飾」の商品が販売される。
「和食を飾る」「食事を通じて人の輪を生む」をコンセプトに据える同ブランド。「着物を作る基となる生地である反物の約30%が使われずに破棄される」という背景に着目し、ブランドコンサルティングや海外向け事業を手掛ける「エー・アンド・ケー」(札幌市中央区北1東1)の川村彰社長が発案した。「質に問題はないのにたまたま需要がないだけで何十何百という反物が捨てられてしまうのはもったいない。新たな付加価値を付けて商品を作ると同時に、日本の伝統文化である着物や和柄を広めることができるのではと思った」という。「『食べる』ということは世界共通。北海道の食と日本の和の文化、両方の強みを生かすことで道外、世界へ発信したい」
商品は「伝統と質にこだわりたい」という思いの下、日本製でシルク100%の「正絹(しょうけん)」の反物のみを使い、着付けや着物のレンタルなどを行う「京ぞの」(東区)のスタッフらが一つ一つ手作りで商品を仕上げる。同じ柄がないため基本的に商品は一点物だという。染み防止のため撥水(はっすい)加工も施す。現在は商業ビル「大通ビッセ」(大通西4)のライフスタイルショップ「YUIQ(ユイク)」で「ランチョンマット」(3,000円~)、「ティーマット」(1,800円~)、「コースター」(400円~)などを販売。小笠原商店内では桜の形をしたコースターのみ販売。「今後の展開を見て空港内でも商品のラインアップを増やしたり、日本人と外国人の購買データを見て商品を企画したりしたい」
現在、「北翔大学」(江別市)芸術メディア学科でアートやデザインを学ぶ学生らと共に商品をデザインする企画を進め、新商品の販売も行う予定。「『着物=古い』というイメージもある。学生の若い自由な発想で伝統にプラスアルファを取り入れたい。学生にとってはデザインだけでなく販売を学ぶ機会にもなり、自分がデザインした商品が売れる喜び、その逆で売れなかった商品は返品されるなど、リアルにマーケットを体感する場にもなってほしい」と期待を寄せる。
川村さんは「最初のうちは作り手の方も『本当にこの反物が使えるの?』『この商品が売れるの?』と半信半疑だったが、販売を重ねていくうちにその疑問も驚きと喜びの声に変わっていった。北海道発の食と日本の伝統を広く伝えたい」と意気込みを見せる。
営業時間は7時~20時30分。