札幌・大通の「ほくせんギャラリー ivory」(札幌市中央区南2西2)で9月14日・15日、ソーシャルゲーム、若手イラストレーターの作品展示会が開催される。主催はイラストレーション事業、デザイン事業を手掛ける「エクスデザイン」(中央区大通西18)。
同展では、同社で受けた制作物、それらを制作する作家の自由作品など95点の作品を展示する。企画のきっかけは「若手クリエーターの育成とこの業界が抱える過酷な労働環境や労働条件の現状打破」と話す同社の谷本智之社長。「経済状況も悪く、低賃金で仕事をこなして『使い捨て』にされるクリエーターもいる。結果、激務で体を壊したり精神的に参ってしまったりする人も多い。この社会問題を解決したい」とし、2008年に同社を立ち上げ、20代の若手クリエーターや学生の育成、勤めていた企業と合わなかった、引きこもり、仕事がない状況にいたイラストレーターらが再出発する場を広げる取り組みを行ってきた。現在約200人の外部イラストレーターと業務も行う。
会場では、100万人以上のユーザーがプレーする「アヴァロンの騎士」、リリースから4カ月で20万人以上のユーザー数を集める「攻城戦記◆バハムートグリード」のソーシャルゲーム画、同社や外部イラストレーターの作品を展示する「自由作品」をそれぞれ展示する。一部のイラストレーターの作品には作家名やツイッターアカウント、イラスト特化型SNS「pixiv」のアカウント名も記載してクリエーター個人を売り出すことにも力を入れる。「ソーシャルゲームは企業に著作権譲渡を求められることが多い特殊な業界のためこうした展示会が行われることは国内でも例がないはず。非営利の展示会という形で開催にこぎ着けたが、もともと営利目的で行う企画ではなくあくまでクリエーターたちがもっと表に立って活躍できる場をつくるための企画。多くの方に足を運んでもらいたい」と谷本社長。「東京には面白そうな仕事や魅力的な仕事も多いという理由で地方から若いクリエーターが流出しているが、クリエーターも一般の方にもメジャーなイラストを手掛けている人が意外と身近にいるということを知るきっかけになってほしい」とも。
「コンテンツ産業の中でもゲームの海外輸出規模は数千億円。ソーシャルゲームの業界は一時期ほどではないにしろまだまだ参入企業も多いので描き手が足りていない現状もある。その現状でいつまでもクリエーターを安く買いたたくような扱いでは何も変わらない。クリエーターにとって当たり前の、幸せで恵まれている労働環境や条件を用意することが使命。そうすることで業界の発展につなげたい」と意気込みを見せる。
開催時間は、14日=13時~18時、15日=11時~17時。入場無料。