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札幌でイタリア職人がチーズづくり-道産牛乳でイタリアの食文化発信

イタリアのチーズ職人が作るチーズの数々

イタリアのチーズ職人が作るチーズの数々

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 ファットリア・ビオ北海道(札幌市白石区平和通12、TEL 011-376-5260)の生産するフレッシュチーズが現在、東京都内の有名ホテルのレストランに採用されるなど注目を集めている。

リコッタチーズを前にするジョバンニさん

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 同社で生産しているのは、モッツァレラ、リコッタなどのフレッシュチーズとカチョカバロなど、南イタリアのチーズ。今年5月に福岡三越デパートのイタリアフェアに出店、6月に東京・ナショナル麻布で北海道チーズ販売会を行うと継続販売が決まったり、有名ホテルのレストランの取り扱いが決まるなど、チーズバイヤーや飲食店から高い評価を得ている。

 製造を担当しているのは、南イタリア・カラブリア州出身のチーズ職人 ジョバンニ・グラッツィアーノさん。ジョバンニさんは、家族に代々伝わるチーズ作りの秘伝を父親から学び、その後地元の酪農場などで修業を重ね、4代続く大規模自然農場「ファットリア・ビオ」(イタリア・カラブリア州)で働き始めた。以来15年同社のチーズ工房の中心となり生産に携わってきた職人だ。昨年札幌に移住し、同社のチーズマスターに就任した。

 同社設立のきっかけは、ユーロ値上がりの影響でイタリアンチーズの入手が難しくなったこと。イタリアンレストラン「エリオロカンダイタリアーナ」(東京都)のオーナー エリオ・オサーラさんが「北海道にイタリアのチーズに近い味はないか?」とノースユナイテッド(札幌市白石区)の高橋廣行社長に相談したことに始まる。

 高橋さんは道内の様々なチーズを探したが、エリオさんが納得する味は見つからなかった。また、イタリアのチーズと日本のチーズの違いがいったいどこにあるのかわからなかったという。「それなら北海道の牛乳でイタリアの職人がチーズを作ったらどうなるのか?」とプロジェクトを発足。昨年「ファットリア・ビオ」の職人を北海道に招き、米村牧場(江別市)の協力を得てフレッシュチーズを作ってみた。チーズマスターらは、北海道の牛乳のレベルの高さに感激し「北海道でイタリアのチーズを作ってみたい」と口にしたという。

 チーズ作りに必要な道具を全てイタリアから取り寄せて札幌に工場を設立。「ファットリア・ビア北海道」社長に高橋さんが就任した。北海道の牛乳を材料に南イタリアのチーズ工房がプロデュースするフレッシュチーズ作りが始まった。

 高橋社長は「イタリアのチーズは日本の豆腐の文化と似ている。その国に伝わる食は材料や技術だけでなく歴史・文化も含め次世代に受け継がれてきた。イタリア人にとってのモッツァレラチーズは、日本人にとっての豆腐のようなもの。北海道の素材に自信を持って世界に通用するチーズをここから発信していきたい」と力を込める。
ジョバンニさんは「最高のイタリアンチーズとその製法を日本に伝えて、イタリアのフレッシュチーズの文化を日本に広めていく」と意気込む。

 同社のフレッシュチーズは飲食店や販売店などへの卸販売が中心だが、モッツァレラ(658円)、ボッコンチーニ(736円)、リコッタ(1,078円)は同社ウェブストアで販売する。

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