札幌市円山動物園(札幌市中央区宮ヶ丘3)は、新たな「北方圏施設」を新設するとともに、既存の「類人猿館」「こども動物園」の改修工事を行い、来春オープンを目指す。
同園は、施設の老朽化や少子化に伴い、近年入園者数が低迷。昨年6月より、市民や有識者で構成した外部委員会「円山動物園リスタート委員会」を設け、新たな取り組みで入園者数の増加を図っている。
今回新設、改修する施設の設計には、従来の同園と市役所建築部のほか、「円山動物園リスタート委員会」委員長を務める札幌市立大学の原田昭学長がデザインなどさまざまなアドバイスを行い、「動物が快適に過ごせる」「来園者がゆっくり近くで見ることができる」などの点を考慮したという。工事は、全体で約2億4,000万円の事業費をかけた大規模な工事となる。
今回新設する「北方圏施設」には、「シカ・オオカミ舎」を建設。かつて道内に生息し、人の手によって絶滅したオオカミと、天敵がいなくなったことにより増加し深刻な農林業被害を与えているシカを同じ施設で展示することで、「人間の勝手な行動で現状を招いたことなどを、将来を担う子どもたちに伝えたい」(同園)と話している。施設面積は約1,620平方メートル。施設中央に来園者が観覧できるセンターを設け、建物の両側にシカ・オオカミの屋外放養場をそれぞれ配置する。
「類人猿館」は、コンクリート床や人止柵などを撤去。床は土に変更し植栽を行う。「こども動物園」では、既存の「小動物館」を「ビーバーの森」に改修し、ビーバー、アライグマ、プレーリードッグなどを展示。プレーリードッグは、巣穴内部の様子を観察できる国内初となる仕組みを取り入れる。既存の「鶏舎」は「ドサンコの森」に改修。「森の中へ観察しに行くようなイメージ」で、道内に生息するエゾタヌキやエゾリスなどの野生動物を展示する。
そのほか、「ふれあい体験コーナー」はスペースを拡大。将来的には、北方圏ゾーンにヒグマやアザラシなど「北方圏」に生息する動物たちの展示を順次予定している。
同園は、来年度の入園者数75万人を見込み、2011年には100万人を目指す。