「歌川広重 ふたつの東海道五拾三次」が6月8日から、札幌の北海道立文学館(札幌市中央区中島公園)特別展示室で開催されている。
江戸時代、幕府の街道整備で江戸と上方を結ぶ東海道が開かれた。街道には茶屋や旅籠(はたご)が置かれ、参勤交代の大名行列、承認、伊勢参りの旅人、飛脚、駕籠(かご)かきなど人の往来が盛んになった。「東海道名所図会」などの名所絵や旅案内などの出版が相次ぎ、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」が旅ブームの先駆けとなった。
歌川広重が描いた保永堂版「東海道五拾三次」には旅人や宿の様子のほか、各地の風物が情緒豊かに描き出され、爆発的な人気を博した。この人気から歌川広重が描いた東海道ものは、15年間で20種類以上に上り、名所絵師として不動の地位を確立した。
同展で展示する「保永堂版」と「丸清版」は同じ宿場を描いているが、構図や色使い、季節、天候、時間帯、人物の動作などが異なっており、出版事情の違いや時代の好みの変化を感じられる。同展では「東海道中膝栗毛」の弥次郎兵衛(やじろべえ)と喜多八が繰り広げる道中を追いながら、2種類の東海道五拾三次を同時に展示。日本橋から見附宿までを前期、浜松宿から京都までを後期と分けて紹介する。
担当の工藤忍さんは「『保永堂版』と『丸清版』の2つの東海道五拾三次を対比しつつ、江戸時代の旅に思いを巡らせてみるのも楽しみ方の一つ」と話す。
開催時間は9時30分~17時。月曜休館(7月15日、8月12日は開館)。観覧料は、一般=700円、高校・大学生・65歳以上=450円、小中学生=300円。前期は7月15日まで、後期は7月17日~8月18日。