北海道立近代美術館(札幌市中央区北1西17、TEL 011-644-6882)で現在、片岡珠子展が開催されている。
片岡珠子(1905~2008年)は札幌出身の日本画家。画家になることを決意し、1922(大正11)年に女子美術専門学校(現女子美術大学)に入学。卒業後、横浜で小学校教師をしながら作品を描き続け、1930(昭和5)年に第17回院展に作品「枇杷(びわ)」で初入選した。型破りな作風とダイナミックな色使いが特徴で、歴史上の人物の表情を描いた「面構(つらがまえ)」や「山」シリーズなど、80年に渡る画業の中で日本画の常識を覆してきた。
今回の展示では、小学校教師時代の初期から晩年に至るまで、片岡さんが残した約350冊のスケッチブックに描かれた下絵や模写を主役に、同館で所蔵する本画30点と合わせて展示する。道立旭川美術館学芸課長の土岐美由紀さんが、2014年から2年間かけて作品とスケッチを照らし合わせて調査したという。これだけの規模のスケッチブックを主役に片岡珠子展を行うのは初めての試みという。
スケッチは、鉛筆などによる繊細な線のほか、サインペンや油性マジックを使った力強い線、指でアクリル絵の具をすくってスケッチブックに直接塗り込んだ激しいものまでさまざま。1962(昭和37)年に海外へスケッチ旅行した際のメモも残されており、作品ができあがるまでの情熱や苦悩など、模索している様子を感じることができる。前期と後期で展示するスケッチブックのページを入れ替える。
同館学芸員の門間(もんま)仁史さんは「片岡球子が日本画家として認められていくストーリーを感じる構成になっている。球子の魅力を体感できるようにスケッチブックの複製を作成し、スケッチを手で触れられるコーナーも用意した。見どころトークやスケッチワークショップに参加して、球子の秘密を探ることもできる」と来館を呼び掛ける。
開館時間は9時30分~17時(入場は16時30分まで)。月曜休館。観覧料は、一般=1,000円、高校生・大学生=600円、小中学生=300円。3月20日まで。