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札幌で「この国の空」先行上映 荒井晴彦監督「戦後70年」テーマに対談も

荒井晴彦監督(左)と元朝日新聞ジャーナリストの作家・外岡秀俊さん(右)

荒井晴彦監督(左)と元朝日新聞ジャーナリストの作家・外岡秀俊さん(右)

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 シアターキノ(札幌市中央区狸小路6)で7月31日、映画「この国の空」の先行上映と、荒井晴彦監督をゲストに対談「戦後70年の対話」が行われた。

 終戦70周年記念作品の同作。終戦間近の東京・杉並を舞台に、庶民の生活や戦時下の極限状態で不安な情勢の中、少女から女へ変化していく一人の女性の姿を通して戦争の本質を描く。終戦のイメージである「青空と玉音放送」を描かず、戦争に翻弄(ほんろう)される男女の許されない恋で終戦だけでなくその後の混乱も思わせる。原作は、高井有一さんの同名小説。主役は二階堂ふみさん、相手役は長谷川博己さん。

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「Wの悲劇」など多数の脚本賞を受賞している荒井晴彦監督が「身も心も」(1998年)以来、18年ぶりに監督を務める作品としても注目を集めている。

 上映後に荒井監督と元朝日新聞のジャーナリストで作家の外岡秀俊さんが登場し、映画化までの裏話や撮影時のエピソード、米国の統治下で制作されてきた戦争映画の表現についての思いや戦争責任の所在について、静かなトーンで熱い対談が繰り広げられた。

 荒井監督は「1983(昭和58)年に発表された作品を構想30年以上経て映画化できてうれしい。日本の戦争映画は被害や悲劇を描くが、この映画は戦争シーンも涙もなく家も焼けない。食べているシーンばかりでスタッフに怒られた。反戦をうたっても戦争はなくならないので、別のアプローチをしたかった。7年前にシナリオを描いたとき、根岸吉太郎監督に見せたら『この映画は誰が見るの?』と言われた」と笑う。

 「主人公の里子の年齢は20歳前後という設定。里子を演じる二階堂ふみもクランクインしたときは19歳だった。劇中の話し方が原節子さんみたいだが、あれは彼女が昭和20年代の映画を見て勉強して工夫したこと」というエピソードも披露した。

 「天皇のご聖断で戦争を終わらせるイメージづくりはもう終わろう。終わりでなく、どうして戦争になったかを描かないと意味がない。戦争が終わっても、日本人は何も変わらなかったのではないか」とも。

 8月8日から全国ロードショー。

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