映画「真夏の方程式」の舞台あいさつが6月30日、札幌シネマフロンティア(札幌市中央区北5西2)で行われ、主演の福山雅治さん、西谷弘監督が登壇した。
同作はフジテレビ系列で2007年に放送されたドラマ「ガリレオ」の映画化第2弾。変人で天才的な頭脳を持つ物理学者・湯川学がさまざまな難事件・怪事件の謎を解き明かし、その中にうずまく人間模様を描くヒューマンミステリー。原作は東野圭吾さんの人気長編小説シリーズで、累計発行部数は1000万部を超える。
「真夏の方程式」は、手付かずの美しい海の自然が残る「瑠璃(はり)ケ浦」を舞台に、海底資源開発を推進する企業と環境保護グループが衝突する中、開発計画アドバイザーとして湯川が招聘(しょうへい)されるところから物語は始まる。そこで湯川は川畑夫妻、娘の成実が経営する旅館「緑岩荘」に滞在することになり、少年・恭平と出会う。恭平は両親の都合で夏休みの間、川畑家に預けられていた子ども。湯川は普段、子どもが近づいただけでじんましんが出るほどの「子ども嫌い」だが、恭平に対しては拒否反応を起こさなかった。恭平も自分を子ども扱いしない湯川に興味を持ち始める。翌朝、事故か殺人か、「緑岩荘」の宿泊客が堤防下の岩場で発見される。湯川は事件の謎に切り込み、複雑に巡る因縁の中に、「悲しい真相」を見いだす。
会場では、作品を見終えた観客500人以上が福山さんと西谷監督を拍手と歓声で迎えた。「湯川先生ー」「ガリレオ先生ー」などの声援も飛び交った。福山さんは第一声、シリーズ中で明かされた「湯川が中学生のときに北海道・岩見沢出身だった」という設定を受け、「湯川学、ふるさと北海道に帰ってまいりました」とあいさつ。「5年ぶりの映画化。見終わったばかりの皆さん、涙が乾いていない方がたくさん見受けられます…」と観客に呼び掛けた。
5年ぶりの「ガリレオ」映画撮影は、「久しぶりというよりは意外とすんなり役に入れた。早く湯川になりたくて、楽しみながら演じることができた」と福山さん。シリーズ第1弾「容疑者Xの献身」に続いてメガホンを取った西谷監督は「ほとんど戻るのに作業はいらず、衣装合わせのときには湯川になっていた」と話したが、すかさず福山さんが「いやいや、衣装合わせのときちょっとだけしかいなかったからわからないかと思いますが、僕は干しシイタケを水で戻すように準備しましたよ(笑)」と突っ込みを入れて会場の笑いを誘った。
映画化については、「どの原作でいこうか考えて、実は最初は『真夏の方程式』だけじゃなく、ほかの作品も取り入れたらという話もあったが、『真夏の方程式』のストーリーを、よりくっきりと浮かび上がらせて原作者のテーマも掘り下げた」という。「原作の核となる東野先生の思いを表現できなければと思った」(福山さん)。
見どころについて、西谷監督は「海の中のダイビングのシーンは海の流れの中、環境をそのままに自然に撮らなければいけない難易度が高いシーンだった。映像と演技、両方が見どころ」、福山さんは「子どもの未来がテーマの作品。一つ一つのシーンにいろいろな発見がある映画なので、そうした視点で見てみるのも面白いはず」と、それぞれ話し、会場を後にした。
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