今春、統廃合することが決まった宮城県東松島市立鳴瀬第二中学校の2年生・38人が3月13日、同校最後の修学旅行で「北海道四季劇場」(札幌市中央区大通東1)に訪れ、ミュージカル「美女と野獣」観覧後、出演者と記念撮影するサプライズが行われた。
「なくなってしまう前に最後の思い出をつくりたい」という生徒たちの願いに、道内の支援団体らが集まり実現した北海道での修学旅行。支援者団体らは「思い出づくりのために」と劇団四季に協力を仰ぎ、サプライズが企画された。当初の修学旅行の積立金から足りなかったチケット代金は、生徒らが地元に伝わる「伝承太鼓」を披露するなどして自ら捻出したという。
劇を見終わった生徒たちの目の前でステージの幕が開き、出演者一堂が生徒を迎えた。ルミエール役・渋谷智也(ともなり)さんが「本日は『美女と野獣』を観劇にいらしてくださいありがとうございます。皆さんが今回、修学旅行の行き先に北海道を選んでくれたことを本当に感謝します。春で鳴瀬第二中は閉校になってしまうと聞きました。けれども母校はいつまでもみんなの心に残り続けると信じています。新しい春を迎える皆さんにエールを送ります。今一緒にいる仲間、新しい仲間を大事に、未来へ向かって頑張ってください。出演者一同、心から応援しています」とあいさつ。「今日はせっかくいらしてくださったので、良かったら私たちと一緒に記念写真を撮影しましょう! さあ、どうぞ舞台上へ」と招き、記念撮影した。観劇直後の出演者と記念撮影する体験に、中には泣き出す女子生徒などの姿も見られた。佐藤史弥さん(13)は「ミュージカルを見たのは初めて。音も大きくて、リアリティーもあって楽しかった」と喜びを語った。
高橋裕子校長は「これまで多くの支援団体の方々に助けられてきた。今回は生徒たちが行動して負荷もかかったと思うが、自立するきっかけにもなった。これはみんなでつくった最後の修学旅行。貴重な体験ができたことに感謝したい」と語った。