札幌市は9月22日から、札幌駅前通地下歩行空間「チカホ」の「北2条デジタルサイネージ広場」(札幌市中央区北2西4)で次世代情報アクセスシステム「QIY2012」を使った実験を行う。
同システムは、人の表情、服装、動きなどの情報を基に対象の「感情」「興味・関心」「気分」を推定・予測し、それに応じた映像を推薦して投影するレコメンデーション・エンジン。「人間の情報」を全く異なる「映像」に対応付けたことが特徴。北海道大学(北13西8)の工学博士・長谷山美紀教授が開発した。「QIY」は「Query is You!」の略で、「Query」は「データベース」の情報を処理するための命令を意味し、対象者の表情・色・動きなどの情報は「命令」「操作」としてシステム上で処理されるため、利用のために難しい操作や知識などは要求されない。今回の実験では、「北2条デジタルサイネージ広場」に設ける6面のサイネージを使い北海道の四季の風景を推薦・投影するシステムを用意。今後開発を進め、観光向けにグルメ・観光スポット情報を提供できるシステム構築を目指す。
同実験は、市が2006年より、「創造性」をテーマに据えたまちづくり政策「創造都市さっぽろ」の取り組みとして「国際芸術祭実行委員会」と共同で進めるプロジェクト「創造都市さっぽろ メディア・アーツ・トライアル」の一環。毎年約100万人が来場する北海道グルメの祭典「オータムフェスト」(今月14日~30日)の会期中に実施することで、道内外の観光客に札幌市の取り組みをアピールするとともに、実験データをシステム改良にも生かすという。
「さまざまなパターンを経験することで進化する知的探究心のあるコンピューター。この場で多くの方に利用していただき、ともに産業を育てていきたい」と長谷山教授。「声や会話の音程、温度センサーなども活用すると利用の幅もまだまだ広がる。一般向けに共有できる感覚を広げることで多くの感動を喚起するきっかけとしたい」とも。
実施期間は、今月22日・23日・29日・30日の7時~22時、24~28日の11時~14時、17時~20時。