札幌市は1月、「笑顔」をテーマに新たなシティプロモートを打ち出した。産業価値に視点を向けた都市の事業プロモートから脱却を図り、地域産業・事業の活性化による内的需要などを目的とする試み。
札幌のゆるキャラ「コアックマ」の活動に「SAPP‿RO」マークも(上部)
従来は個別事業のPRや企業、観光客の誘致など、従来の高度経済成長期に形成された「人」「金」の量的増大経済・産業に視点を向けた都市計画、市外の観光客向けの産業を主体としたプロモート活動を展開していた。今回のプロモートでは、札幌固有の環境・資源・文化の強みを生かし、札幌が国内外の都市のライフスタイル・モデルケースとなるよう「受動的」な体制から「能動的」に街をアピールし産学民官が連携を図り地域産業の活性化を推進するもの。
「札幌といえば食文化や豊かな自然環境、北海道の中心地として日本で5番目の人口を有する都市としての機能性もあり世界に発信できる魅力がある。市民の意識調査でも札幌への好感度は全国的に比較して異常なほど高い。そんな札幌で生活する中で市民自らが札幌固有のライフスタイルに価値を見いだしその魅力を発信するためのテーマに『笑顔』を採用した」とプロジェクト担当の北川憲司さん。
「笑顔のあるところには自然に人が集まる。食べ物、緑の多い自然やその環境を生かしたレクリエーション、雪まつりやホワイトイルミネーションなどのイベントを含め『笑顔』が集まりやすい土地。社会への不安も多い現代の世の中で暗くならず前向きになることができるテーマを掲げた」という。
笑顔のシンボルとして「SAPP‿RO(サッポロスマイル)」のロゴマークを制作。札幌のグラフィックデザイナー団体で、デザインセレクトショップ「D&DEPARTMENT」を運営する「3KG(スリーケージー)」がデザインを手掛けた。「『I●NY(●=ハートマーク)』のようにカジュアルで親しみやすく、シンプルでリアルに笑顔を印象付けるマークになってほしい」。情報発信にはSNSや口コミなどのバズをメーンに展開し、身分や国籍を問わず参加型の手法で拡大を試みる。今月6日から始まった「さっぽろ雪まつり」開催に合わせ、札幌駅前通地下歩行空間でグッズ販売イベントなども行う。「笑顔になるような取り組み、事業に人々が共感し、参加した人たちが『スマイルマーク』を街中に配ってほしい。マークを見た人が、この店・このイベントは『笑顔』があると思ってもらえるシンボルとしての認知を目指す」
「観光のイメージで『行きたい街』ではなく『住みたい街』として内外の方に街の魅力を発見してもらいたい。札幌のライフスタイルから生まれる魅力を産業として創造し、市民の方が札幌という街に誇りを持ち、市民が楽しみながら『笑顔の似合う街』として街づくりに取り組んでほしい」とも。