建設コンサルティングのドーコン(本社=札幌市厚別区)は4月20日、札幌都心部で自転車を共同利用できるサイクルシェアリングサービス「札幌みんなのサイクル ポロクル」を始める。同社が同1日に立ち上げる専門の子会社「ドーコンモビリティデザイン」がNTTドコモと連携し運営する。
ポロクル利用時は、専用のICカードやおサイフケータイ機能が付いた携帯電話をサイクルポートのリーダーにかざす
サイクルシェアリングは専用の駐輪場(サイクルポート)であれば、どこでも自転車が借りられ返却できる自転車共同利用サービス。「乗り捨て」できる点が通常のレンタルサイクルと異なり、「コミュニティーサイクル」とも呼ばれる。欧米諸国の都心部では既に定着し始めている同サービスは、最近では日本でも多くの都市で事業化・社会実験などが行われているという。
札幌の「ポロ」とサイクルの「クル」から名付けた「ポロクル」は、2008年からドーコンモビリティデザイン前身の「北海道モビリティデザイン研究会」が研究を開始。2009年には環境省による社会実験、昨年はドーコンとNTTドコモによる実証実験を行い、今回の事業化につながった。
自転車は特注したポロクルオリジナルのものを用意し、サイクルポート(レンタル拠点)は地下鉄やJR・バスとの乗継地点、商業施設・文化施設などをメーンに設置。オープン時は札幌都心部の6カ所に自転車50台を配置し、今シーズン中には約40カ所に300台の配置を目指すという。
利用者(16歳未満は利用不可)はホームページや、札幌ノースプラザ(中央区北1条西4)内「どさんこ商品研究所」に開設されるポロクルカウンター(15日開設)で会員登録を行い、利用費はクレジットカードで支払う。利用費は、5月中まではオープン期間として無料とし、6月以降は有料化を予定。一般会員の場合、月額1,050円を支払うと原則30分以内の移動は何度利用しても無料で、1回だけの利用は105円を予定する。
利用の際、専用のICカードやおサイフケータイ機能が付いた携帯電話をサイクルポートに備え付けてあるリーダーにかざすと、自転車を固定しているロックが外れ自転車を利用できる仕組み。返却時は同様にかざした後でサイクルラックに自転車を押し込むとロックされる。
「建設コンサルティングの当社は道路や交通に対しての専門知識はあっても、これまで一般ユーザーの方との接点が少なかったため、地域活性化につながる社会貢献ができる仕事がしたいと以前から考えていた」とドーコン交通事業本部交通部サイクルシェアリング推進室技師の石川里子さん。「ポロクルはこれまで札幌にはなかった新しいサービス。都心部での移動をスムーズにし、行動範囲を広げるだけでなく、放置自転車の減少や自転車利用マナーの向上、自動車によるCO2排出削減といった社会的課題を解決するきっかけになれば」と期待を寄せる。
今後は同サービスに関連したサイクルツアーやイベントなども予定する。同サービスの会員登録受け付け開始は4月上旬を予定。詳細はホームページで確認できる。