「丸井今井札幌本店 大通館」(札幌市中央区南1西2)9階催事場で6月12日、華道家元池坊(京都市中京区)による「いけばなの根源池坊展 札幌花展」が始まった。
池坊は、聖徳太子が創建したといわれる京都「六角堂」(頂法寺)に花を献じる僧侶が六角堂北側の池のほとりに住んでいたことから呼ばれるようになったと伝えられる名前。室町時代になり、生け花の名手として有名になった池坊専応が芸術的技術を体系化し、華道を生んだ。池坊の生け花のスタイルは大きく分け、室町時代に成立した最も古い様式で一瓶の中で「大自然の美」を表すという「立花(りっか)」、江戸時代に成立し、気品と格調、草木の成長する美しい姿を表す「生花(しょうか)」、型にはまらない様式で、発想や感性で表現するという様式「自由花」の3つがある。伝統的なスタイルであり、時々で臨機応変なスタイルも表現する華道は、国内外から高い評価を得ている。
同展は全国主要都市で開催される恒例イベントで、北海道では2年に1度行われる。今年は「伝えるもの、受け継ぐもの」をテーマに、伝統と時代とともに移り変わる作品性などを表す。作品は「華道家元四十五世」池坊専永さん、次期家元・池坊由紀さんの作品や北海道内から選ばれた華道家の作品などで、6日間の会期中、花の鮮度や展示スペースを保持するため2日間ごとに作品を入れ替えて約450点を展示する。
会場では、ライトやしゃぼん玉、水などを使った池坊専永さんの作品、巨大な流木を使い大胆さと生け花ならではの繊細さを表した池坊由紀さんの作品、師匠と弟子が「受け継ぎ、受け継がれてきた技と心」を表現するコーナー「悠久の流れ-ともに歩む」、池坊生け花を学ぶ学生とその先生の作品を並べるコーナー「花のバトン」、さまざまなシチュエーション、空間に合わせたスタイルやアジアン、ヨーロピアンなどの文化も反映した作品コーナー「スタイルを彩る」など、さまざまなカテゴリーを設けて作品を展示する。特別コーナーとして、NHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公・新島八重が池坊の門弟だったことが分かる入門証や当時の写真パネル、新島八重が入門していた明治時代の生け花なども展示する。
当日は池坊由紀さんが来場。「池坊は昨年で550年の節目を迎えた。花という変わりゆくものがこれほど続いてきたことをうれしく思う。これを次の世代へ受け継ぐことも大きな課題。池坊の世界を新しい世代にも伝えたい」とあいさつした。
会期中は「親子いけばな体験レッスン」「いけばなデモンストレーション」などのイベントも開催する。詳細はホームページで確認できる。
開催時間は10時~19時30分(6月13日・15日、16日は19時、17日は18時まで、入場は閉場の30分前まで)。入場料は900円(高校生以下無料)。今月17日まで。