映画「だいじょうぶ3組」の舞台あいさつが3月15日、札幌市立二条小学校(札幌市中央区南2西15)で開かれ、原作を手掛け自身も俳優として出演する乙武洋匡さんが登壇した。
2010年に出版された同名小説(講談社)を原作にした同作。乙武さんが2007年~2010年の間、実際に小学校教師を務めた体験を基にした自伝的ストーリー。主人公・白石優作をTOKIOの国分太一さん、白石の幼なじみの新任教師・赤尾慎之介を乙武さんが演じる。乙武さんは同作が俳優初挑戦となる。
舞台は新学期を迎えた4月の小学校。同校「5年3組」の担任を受け持つこととなった赤尾と補助教員の白石。2人が教室に入ると、クラス28人の子どもたちの視線が一斉に赤尾に集まる。赤尾には、生まれつき手と足がない。2人の先生が悩み、助け合い、子どもたちと真正面からぶつかり合う。
当日は、卒業を控えた6年生61人が乙武さんを拍手で迎え、事前に作品を鑑賞した児童たちとの質疑応答を行った。「手足がなくても諦めずに挑戦する乙武さんはすごい。できないことが多い中で、なぜ教師になったんですか?」「どうしたら乙武さんのようにプラス思考になれますか?」などの質問に「教師になろうと志したころ、僕はスポーツライターという職業だったが、皆さんと同じぐらいの少年少女が人を殺してしまう事件があり、ショックだった。しかし、その子どもたちも苦しんでいたはずで、彼らのSOSを受け取れていたら変われたはず。僕は子どものとき周りの大人に助けられた。今度は自分の番で、下の代に対し恩返しというより『恩送り』がしたくて教師になろうと思った」「僕は、珍しいと思われるかもしれないけどマイナス思考の人間が好き。プラスでもマイナスでもどちらでもいいと思う。僕のようにマイナスだっていいと言ってくれる人だっているから。『どうしたらプラス思考になれるか』ということは、つらいこと、失敗をたくさん経験することで『昔はこんなことがあったからこれぐらい乗り越えられる!』と思えるようになり、プラス思考になる。たくさん失敗して恥ずかしい思いもして大人になってください」と、それぞれ回答。児童たちは乙武さんの言葉一つ一つに熱心に耳を傾けていた。
乙武さんは「来週は卒業式。6年間いろんなことがあったと思う。でも、大人になったらもっといろんなこともある。これから出会いや楽しいこと、つらいこともあると思うが、いろいろチャレンジして、経験してほしい。そして勉強だけじゃなくて心の成長も大切にしてほしい。映画でも伝えていたけど、自分のことも相手のことも大切にできる人になってください」とエールを送り、会場を後にした。
乙武さんが学校を出発する際、乙武さんを囲み合唱するサプライズが。子どもたちの歌に聞き入り、最後には「ありがとう」と涙を流す乙武さんの姿に、児童たちも涙を流し感動に包まれて学校を去った。
同校の加納杏優さん(12)は「映画では乙武さんの前向きな姿に感動した。自分も乙武さんのようなすてきな人になりたい」と笑顔で話していた。
同作は3月23日、全国ロードショーを予定。