札幌に宅配・立ち食い「おむすび」店-障害者の自立支援目的に

喫茶店を改装し、壁面にアレンジしたすのこ板が特徴の店内

喫茶店を改装し、壁面にアレンジしたすのこ板が特徴の店内

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 障害者の自立支援を目的とした宅配・立ち食いおむすび店「おむすび村」(札幌市中央区北3東2、TEL 050-1496-0966)が11月15日、創成川近く北3条通り沿いにオープンする。

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 店主の佐藤和男さんは、重度障害者と健常者の共同創作バンド「オニオンスライスファミリー」で10年以上音楽活動を続けており、重度障害者の音楽活動と自立を支援するボランティア団体「be Together」のメンバーの1人でもある。重度障害者を受け入れている一般企業は少なく、重度障害者が社会に出ても働く場所がないのが現状。「国に助成を申請しても受け付けてもらうのは難しい。国の世話になって生きていくよりも、自分の力で生きていくスタイルを確立しよう」(佐藤さん)と、重度障害者の働く場所として同店のオープンを決めた。

 採算性があり障害者でも働けるのを前提に検討した店の業態は、札幌では少ない宅配・立ち食い形式のおむすび店。佐藤さんは、これまで経営していた喫茶店を約2週間かけてすべて手作りで改装。すのこ板を壁面にアレンジし、立ち食い用カウンター2台を設けたほか、店内の一角に仕切りを作り、重度障害者の仕事場としてインターネット環境を整えたスペースを設けた。インターネット受け付けのシステムを作り、顧客管理やデータ整理などの業務で生活費を稼いでもらうという。

 同店は、昼の部におむすびを提供、夜の部は「立呑み処 くるま座」としてアルコールを提供する。メニューはそれぞれおむすび2個のセットメニューで、味噌汁付きの「お手軽セット」(400円、立ち食いのみ)、総菜2品付きの「おむすび村セット」(立ち食い=500円、宅配=530円)、総菜2品、味噌汁付きの「満足セット」(立ち食い=600円、宅配=630円)。おむすびの具は、一般的な「鮭」「おかか」「梅」のほか、オリジナルの「鳥そぼろ」「おかか炒りたまご」など計8種類(単品=各150円)から選べる。そのほか、露天の味を再現したという「味噌おでん」(80円)も。

 佐藤さんは「(重度障害者を)受け入れる準備のため、来春までに店を軌道に乗せたい」と意気込み、1日100食の販売を目指す。「国や市町村から助成をもらった作業所でなく、普通に働ける場所を作ってあげたい。誰かが受け入れる器を作ってあげることが必要」とも。

オニオンスライスファミリーと仲間たち

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