北海道のルーツであるアイヌデザインをベースにアイテム開発を手掛ける「mina an ikor(ミナ アン イコル)」プロジェクトが4月1日、同ブランドの大判ストールの販売を開始した。
同プロジェクトは、「アイヌ文様」を中心に商品開発を行い、ストーリー性がある「北海道ブランド」商品としてクリエーティブに表現しながら発信することをコンセプトとする。北海道のアイデンティティーとして、沖縄の「かりゆし」のようにオフィシャルな存在にすることも目標にするという。ブランド名の「mina an ikor(ミナ アン イコル)」の「mina」はアイヌ語で笑顔、「ikor」は宝物という意味。「宝物である笑顔を北海道から全ての人に届けたい」という願いが込められているという。
アイヌ文化継承者でありアイヌ文様デザインを行う「AINU ToyToy屋」(札幌市白石区)の小川基さん、志保さん、「クラウドナイン」(中央区)・クリエーティブディレクターの峰江卓也さん、凸版印刷(西区)・プロジェクトディレクター・オカダジュンイチさん、商品企画や販売を手掛ける「ジムニーワークス」(中央区)の工藤寛樹さんの5人でプロジェクトを運営する。今年1月から本格的に企画をスタートし、4月の商品販売にこぎ着けた。
第1弾として完成した大判ストールは、70センチ×180センチ。カラーパターンは、ブラック、グレー×オレンジ、ピンクの3種類。和柄の千代紙で切られたアイヌ文様をレイアウトする。先祖代々受け継がれたアイヌ文様の基本的な模様は、モレゥ(渦)、アィウシ(とげ)、シク(目)で構成され、特にツンと立つとげの部分はアイヌの服のえりや裾、袖口などに刺しゅうされ、災害や不幸から守っているとされる。今回、アイヌ文様では初めての雪の結晶をモチーフにした文様をデザインし、ストールを完成させた。「このストールを身に着ける方をあらゆる災害や不幸から守り、笑顔にしたいという願いを込める」と小川さんは話す。
3月に先行予約後、タペストリーとしてのオーダーやホテルからのユニホームへのアレンジ依頼があるなど、ストールとしての用途以外の評判も上々。オカダさんはプロジェクトの発足経緯を「インドネシアやマレーシアなど、アジアから北海道にくる観光客向けの土産品の開発がきっかけだった」と話し、「ムスリム女性のヒジャーブとしても使えるよう工夫した」とも。同ブランドのフェイスブックページのインドネシアからのアクセスも多く、2日間で「いいね」が1500付くなど国内外から注目されている。
価格は1万6,200円。