札幌芸術の森美術館（札幌市南区芸術の森2、TEL011-591-0090）で現在、「篠山紀信展　写真力　THE PEOPLE by KISHIN」が開催されている。

　1950年代後半から現在に至るまで撮影し続けた中から、篠山さんが「写真の神様が降りて来た」時に撮れたという約120点を厳選し、巨大に引き伸ばした写真を展示する。中には8メートルを超える作品も。会場は「GOD（鬼籍に入られた人々）」「STAR（全ての人々に知られる有名人）」、「SPECTACLE（私たちを異次元に連れ出す夢の世界）」「BODY（裸の肉体、美とエロスと闘い）」「ACCIDENTS（2011年3月11日、東日本大震災で被災された人々の肖像）」の5部で構成し、テーマに沿った人々の写真を見る事ができる。

「GOD」では既に他界した人の中で鮮烈に記憶に残っている人として渥美清や三島由紀夫など、「STAR」では年代を超えた有名人に合わせ札幌のみで公開の大泉洋さんと前田敦子さんのツーショットを展示。「SPECTACLE」ではディズニーランドや歌舞伎の舞台上の写真、「BODY」ではバレリーナの筋肉美を撮影したものや宮沢りえさんのヌード写真集でのワンショットなどさまざまなヌードを展示する。最後の「ACCIDENTS」では篠山さん自身が初めてとなるドキュメンタリーに挑戦した写真を展示。

　初日に来札していた篠山さんに話を聞いた。「私くらいの年齢になると、回顧展みたいなものが多いがそれはやりたくなかった。今までの自分の作品を大きく引き伸ばし、空間と写真力のバトルをやったらどうなるかを試したかった」と話す。限定公開の大泉さんの写真については、「前田敦子さんの方が積極的で、大泉さんは腕を組まれたりして戸惑っていた」というエピソードも。篠山さん自身も引き伸ばした写真を見て驚いたと言い、「インターネットや写真集だけで見た気分になってもらいたくない。ぜひ会場に足を運んでいただき、大きな写真と空間に浸って対峙（たいじ）してほしい」と来館を呼び掛ける。

開催時間は9時45分～17時（6月は17時30分まで）。入場料は、大人・大学生＝1,100円、高校・中学生＝900円、小学生＝600円。6月15日まで。