特集/コラム

【エリア特集】2007-11-19

「CITY TRANSPORTATION」
地域に密着した市電。毎日色を変える街並みを楽しむ。

「ノスタルジック」。その形容がふさわしいと思える札幌の市電。町並みを嫌悪させない色合いのエクステリア。どことなく懐かしさを覚える線路を往来する音。犇(ひし)めくガソリン車の輩に打ち消されそうになりながらも、堂々たる風格で街を走る。公共機関ではアスファルトの下を行き来する地下鉄が主流な現在、あえて市電の良さを見つけてみよう。

■市電に乗って、いつもとは違う時間を過ごしてみよう






乗車料金を確認してみる。全区間170円(こども90円)。始発から終点まで乗っても170円。地下鉄1区間200円(こども100円)と比べてみてもわかるように安い。お得な『どサンこパス』も発売されている。これは、土曜・日曜・祝日の市電専用1日乗車券で、大人=300円。これ1枚で、大人1人につきこども1人が無料で乗車できる。当日発売に限るが、市電車内ですぐ購入できるのも魅力だ(大通定期券発売所、交通案内センターでも発売)。名前の由来を見てみると、?ど曜日サンデーにこどもと一緒に?という意味が込められているそうだ。車窓から見る景色を子供と一緒に楽しむのもよい休日になるだろう。普段運転に徹している人も、こんな時は子供との会話をはずませたいものだ。もちろん、大人同士の市電沿線散策時にも役立てほしい。休日の交通量緩和にもひと役かっているようだ。

どサンこパス

 目的地としてメジャーな停留所には『ロープウェイ入口』がある。藻岩山観光には欠かせないロープウェイ。南19条にあるこの停留所から下車数分のところだ。ロープウェイでは、そこから見る札幌の街の大きさに感動を覚えながら徐々に頂上を目指す。頂上からの景色も格別である。昼と夜で、表情を大きく変えるのも見ごたえがある。空気が澄んでいるこの季節には、市外の建物までよく見えるだろう。

藻岩山ロープウェイ

藻岩山観光を終え下に戻ってくると、その近辺には『宮越屋珈琲』や『ブルーチューリップ』といった人気の店がある。少し奥まった場所にあるが、珈琲の心地よいに匂いに誘われ、たやすく見つけることができるであろう。喧騒から開放され、ゆったりとした時間を過ごすことができる。昼間は四季折々の自然を感じ、夜は優しい照明の店内で穏やかなティータイムを楽しむのもいい。ちょうどこの辺は、市内を1本で繋ぐ環状線が走っており、その沿線上にも一度は行ってみたくなる店が数多く点在している。

■少し目線を変えてみると、意外な発見が転がっている市電沿線

 観光とはまた違ったプラリ感を楽しんでみよう。「ロープウェイ入口」より1駅北上した停留所、「西線16条」。下車すぐ目の前に知る人ぞ知る店が存在する。「フーズセンターやまもと」。スーパーチェーン店がここかしこにある中、昔ながらのスーパーとしてその風貌は温かい。さほど大きくもない店構えではあるが、揃えている品数はなかなかのものである。


 店先には、季節の新鮮な野菜が驚くほど並んでいる。それも産地直送など。マンションや家々が立ち並ぶ立地において、まさかこれほどの物がここにあるとはいかんとも想像しがたい。「そういえば八百屋とはこんな感じだったんだろう」と、この都会の住宅街の中で気付かされる訳だ。袋にギューギュー詰めになった野菜が1袋100円など、値段にも驚かされる。


店内をのぞいてみると、これまた驚くことがある。そこには魚があるのだが、ただあるだけではない。店内に魚屋が独立しているのだ。店の中に甲高く響くおやじさんの声。「安くしとくから買ってきな」「新鮮だから今日は刺身ね」などと、来店している奥さん達に気兼ねなく声をかけている。こんな光景は、市場や魚屋以外でなかなかお目にかかれるものではない。厚く敷かれた氷の上には身の厚いプリプリの魚達が贅沢に並ぶ。情緒溢れるその光景がいとも微笑ましい。


そして、この「やまもと」の名を馳せる要因となったのはもう一つある。珍種の酒の品揃えだ。同業者も一目置いてわざわざ足を運んだりするそうだ。札幌でも他の店に置いてないものがある、酒蔵と密な関係で本物の良い酒を選んでいるなどが理由として挙げられる。そのこだわりが、買いに来る人を引き寄せるのであろう。また、今年で22回目を迎える「ワイン領布会」と銘打ったワインお届けシステムも人気である。10月から1月までの毎月、300品以上の中から厳選されたワイン、2本または3本を3,980円で堪能できるというのだ。店頭には置いていない取寄せワインがセレクトされていたりと、これだけでもワイン通にはたまらない。通り過ぎれば一見ただの店。でもプラリと足を運んでみれば、そこで意外な発見と都会の中の温かな面を垣間見ることが出来るのだ。

■外の景色を眺め、街の表情を感じてみる

普段、気にも留めず通りすぎている市電沿線であるかもしれないが、ちょっと目をやると面白いほど収穫がある。そしてなにより、市電からは地下鉄では見えない外の景色がそこにある。太陽の光や雨の音、風の動きや街の表情を感じる。同じ景色でも、そこに映る風景に同じものはない。それが、市電からの時の贈り物であり、楽しさでもあるのではないだろうか。そんな街並みに途中下車し、是非とも新たな発見を楽しんでいただきたい。

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